新型コロナウイルスに次亜塩素酸水は有効なの?
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ここでは、実証実験の結果と共に、アルコールと同じようにお使いいただける「次亜塩素酸水」を取り上げさせていただきます。
もくじ
1.実証検査とその内容
2.次亜塩素酸水の特徴
3.アルコール消毒で気を付けたいこと
1.実証検査とその内容
新型コロナウイルスに次亜塩素酸水は有効なのでしょうか。
経済産業省と、独立行政法人 製品評価技術基盤機構NITEは、2020年6月26日に新型コロナウイルスへの次亜塩素酸水の有効性を発表しました。
(経産省のホームページからご確認していただけます:【新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回)】)
また、次亜塩素酸水について実証実験も行われています。
お使いの際は、そちらをご参考にしていただければと思います。
(Press Release (2020 年6 月1 日)【次亜塩素酸水(pH5.5、有効塩素濃度40ppm・電気分解方式による)の新型コロナウイルスに対する不活化に関する実証試験 -第二弾-】)
上記発表によれば、次亜塩素酸水(PH5.5、40ppm)の新型コロナウイルスが30秒で不活化されました。
これは、アルコール消毒と同等の効果と言っても過言ではないと思います。
アルコール消毒剤が、どのくらいウイルスを不活性化するのか、実証実験と比較してみましょう。
(Kao:【ウイルス不活性化化合物ーアルコール類】)
濃度によりますが、30秒で減少が確認されています。
「次亜塩素酸水にしても、アルコールにしても、現実手に30秒も実際しないのでは?」と考える方も多いかと思います。
医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について Q&A
30秒以下になると、実証実験が困難であるため、アルコールでも次亜塩素酸水でも行われていません。
ただ、一部の試験では5秒などより少ない秒数で行われているケースもあります。
(2009年日本食品分析センター【インフルエンザウイルス殺ウイルス効果試験】【エコーウイルス殺ウイルス効果試験】【エンテロウイルス殺ウイルス効果試験】等)
これらの試験において、次亜塩素酸水によって5秒後にウイルスは検出されなくなっています
厳密にされる場合は30秒ほど放置したほうがよいかと思いますが、日常で使う場合は、さほど気にされなくてもよいかと思います。
結論
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次亜塩素酸水(PH5.5, 40ppm)は、新型コロナウイルスが30秒で不活化できる。
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次亜塩素酸水は、アルコールと同じように使って効果がある。
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アルコールも、次亜塩素酸水も、厳密にする際は30秒放置。
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日常使いでは、さほど秒数を気にせず、塗り残しが無いよう、手全体に広げることが大事。
(↑海外のスーパーで消毒に使われている次亜塩素酸水)
2.次亜塩素酸水の特徴
アルコール消毒に比べると、馴染みの少ない次亜塩素酸水ですが、アルコールよりも優れた面がいくつもあります。
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手荒れが比較的にしづらい
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消臭効果に優れている
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芽胞形成菌やノンエンベロープなど、アルコールでは消毒できない菌やウイルスを除菌できます。
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希釈して使用するため、お買い得
手荒れが比較しづらいというのは、実証実験で証明されています。
(1997年11月:新薬と臨床Vol.46,No.11 北里研究所バイオイアトリックセンター【弱酸性電解水の有効性および頻回使用における安全性について】)
内容として次のことが言われています。
"手荒れ発現率は一般消毒剤の63%に比べ3.1~17.2%とはるかに少ない数値であった。頻回手洗いにおいて通常使用されている消毒剤とほぼ同程度の効果があり、手荒れが現れても速やかに消失する例が多く臨床的にほぼ安全であると考えられる。"
すごいですね。63%に比べて、3~17%とかなり低い手荒れの出現率です。
アルコールは、その揮発性のため、手の水分も一緒に蒸発させ乾燥させてしまいます。「手指消毒剤」に指定されていても、消毒の効果が成分量割合から保証されているだけで、手荒れについて考えているわけではありません。
また、pHが極端な除菌液も手への刺激が強すぎてしまいます。
酸性度の高くない次亜塩素酸水は、「手荒れがしづらい除菌液」と言えます。
次亜塩素酸水は、手にかかっても大丈夫?
次亜塩素酸水は、薬機法上、商品分類上「雑貨」に当たるため、「手指消毒ができる」とは表示できません。
ですが、希釈が適切にされているのであれば、「手にかかることで、手荒れを起こし、すぐに健康を害する」というわけではありません(個人差はあります)。
ご使用方法は、メーカーの指示に従った濃度に希釈したうえで、適切にご使用してください。
消臭効果に優れている。
アルコールも菌を減らしますので、消臭効果を持次亜塩素酸水も菌を減らしますので、消臭効果を持ちます。
また、どちらも生ごみや汗、トイレ臭の原因となる「アンモニア」を分解することができます。加えて、魚の腐敗臭「トリメチルアミン」の臭いも抑えます。
(次亜塩素酸水 実験データ ライブラリー【消臭:アンモニア臭】)
次亜塩素酸水は、卵の腐敗臭「硫化水素」、口臭や玉ねぎの腐敗臭「メチルメルカプタン」といった酢酸臭も抑えます。
アルコールが酢酸臭を抑えるといった論文は見当たらないので、おそらく酢酸臭には効果がないようです。
- 次亜塩素酸水も、アルコールも、除菌効果で、臭いの原因となる雑菌を分解し、消臭します。
- 次亜塩素酸水も、アルコールも、アルカリ性の臭気物「アンモニア」「トリメチルアミン」を消臭できます
- 次亜塩素酸水は、酢酸臭「硫化水素」「メチルメルカプタン」の消臭もできます。
- 次亜塩素酸水は、有機物と反応します。タンパク質、油脂、炭水化物と反応して消臭します。
幅広い消臭効果が期待できるのが、次亜塩素酸水の特徴です。
芽胞形成菌やノンエンベロープなど、アルコールでは消毒できない菌やウイルスを除菌できます
アルコール消毒のほうが除菌ではなく「消毒」となっていますので、より強力そうに思いがちですが、全部の菌を消毒できるわけではありません。
例えば、アルコールは、エンベロープウイルスは除去できますが、ノロウイルスなどのエンベロープウイルス、枯草菌のような芽胞形成菌には、効果がありません。
一方で、学術論文上、次亜塩素酸水は、こうしたノロウイルスや枯草菌にも効果を示しています。
多くの次亜塩素酸水が薬機法上「雑貨」の区分のため「除菌」とうたっていますが、「消毒」よりも効果が劣ることを必ずしも意味するわけではありません。
次亜塩素酸水で注意したいことは、「有機物と反応するくらい不安定な物質」であるため、製造されてから早めに使うこと、紫外線で分解されることが挙げられます。
保管方法など、メーカーの指示に従ってください。
3.アルコール消毒で気を付けたいこと
最後におまけで、身近なアルコールで気を付けていただきたいことをまとめました。
アルコールはいくつか種類があります。
- アルコールの中でも、エタノールと呼ばれるものが消毒用です。
- 燃料用アルコールは消毒には使えません。危険なので代用しないでください。
- 消毒用エタノールでも、食品添加物とそうでない外用のものがあります。
- 外用エタノールの中にはイソプロパノールを含むものなど、口に含むことを想定していません。食べ物の消毒には危険です。必ず使用用途をお守りください。
「アルコール」でお探しの方も、アルコールにも種類がございますので、適切に使っていただければと思います。
また、アクリル板や革、トイレの便座など、アルコール消毒が向かないものもあります。下記記事をご参考にしていただければと思います。
(【革製品の消毒にアルコール除菌はNGです|除菌液と素材の相性一覧】)
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