革製品の消毒にアルコール除菌はNGです|除菌液と素材の相性一覧

革製品の消毒にアルコール除菌はNGです|除菌液と素材の相性一覧

春になって、発汗が多くなり、臭いも気になる季節になってきました。

私も靴や靴箱を次亜塩素酸水で除菌消臭しようと思ったのですが

「使って色落ちしない?大丈夫?」と気になってしまいましたので、調べたのをまとめました。

除菌液(アルコール消毒、次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウム)と素材(革、布地、ゴム、プラスチック)の相性を大まかですが一覧にしましたので、ご参考にどうぞ。

コロナ対策として除菌したいですが、どの除菌消臭が、どの素材に大丈夫なのか難しいですよね。 間違えてしまうと、色落ち、膨張、ひび割れなどしてしまうので気になると思います。

除菌をする前にぜひご確認ください。

※いずれの除菌液も、変色しないかどうか目立たないところで確かめてから、お使いしていただければと思います。

 

もくじ

1.革製品

1-1.革製品×アルコール除菌

1-2.革製品×次亜塩素酸水

1-3.革製品×次亜塩素酸ナトリウム

2.布地

2-1.布地×アルコール除菌

2-2.布地×次亜塩素酸水

2-3.布地×次亜塩素酸ナトリウム

3.ゴム

3-1.ゴム×アルコール除菌

3-2.ゴム×次亜塩素酸水

3-3.ゴム×次亜塩素酸ナトリウム

4.プラスチック

4-1.プラスチック×アルコール除菌

4-2.プラスチック×次亜塩素酸水

4-3.プラスチック×次亜塩素酸ナトリウム

おまけ:床や家具などワックスが使用されたものにアルコールはダメ!

 

 

1.革製品

1‐1.革製品×アルコール除菌

アルコール除菌を革製品にしてはいけません。

アルコールが付着すると、革製品表面の色が抜けるなど変色が起きます。

これは、革のコーティングや合皮のコーティングがアルコールと反応することで起きるんだそうです。

吹きかけた場合でも、アルコールの含んだウェットティッシュでも、基本的にNGです。

 

1‐2.革製品×次亜塩素酸水

次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムと混同されがちですが、微酸性の全くの別物質です。強力な酸化力により高い殺菌力を持ち、有機物と反応するとすぐに水に分解されるのが特徴です。消臭効果も持ちます。

革製品にお使いいただけます。

80ppm以上の濃度で除菌してください。(※メーカーの取り扱い説明書に沿ってお使いください)

革生地が吸い込まないように、スプレーで吹きかけてから、乾拭きで拭き取ってください。

 

1‐3.革製品×次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウムは、強アルカリ性の漂白剤、ハイターなどで有名な物です。「混ぜるな危険」と書かれている通り、酸性の物質と反応を起こすと塩素ガスを発生させます。直接皮膚に触れると、皮膚が火傷する危険性があります。

革製品にお使いいただけます。

0.05%まで薄めた液を清潔な雑巾で拭き上げてお使いください。

水拭きをして、拭き残しが無いようにしましょう。

金属に付着したままだと金属が腐敗してしまいます。

※繰り返し消毒をすると、黒い革の場合、暗い青み帯びた色に変色することがあるそうです。

 

2.布地

布地と言っても、綿や麻などの天然素材から、ナイロンやアクリルなどの合成繊維まであるので、個々の差がでてくる可能性はあります。

いずれにしれも洗えるのであれば、洗ったほうが清潔かと思います。

2‐0.スニーカーや上履きの類には...過炭酸ナトリウム

バケツに40℃のぬるま湯を用意し、過炭酸ナトリウム(2ℓに対して大さじ1が目安)を加えて混ぜます。靴が浸かるように入れて、ときどき上下を返しながら4~5時間おきます。 仕上げにしっかりと水で洗い流し、水けをきってから風通しのよいところでよく乾かせば完了です。

消臭や黄ばみにも効果があります。

 

2‐1.布地×アルコール除菌

お使いしていただけます。

濃度70%以上95%以下のエタノールをお使いください。

※60%以上で、菌の数は減らせますので意味がないわけではありません。

 

2‐2.布地×次亜塩素酸水

✕ ナイロン

ナイロン以外は、お使いしていただけます。

皮脂、食べかすなどが付着している場合、有機物と先に反応してしまうため十分な除菌ができない可能性があります。

あらかじめ汚れ等は落としてからお使いください。

また、次亜塩素酸水はあまりデータがないので、必ず目立たないところで色味に変化がないか確かめてからお使いください。

 

2‐3.布地×次亜塩素酸ナトリウム

お使いしていただけます。

濃度が濃い場合、漂白効果が強いので、白い生地以外にはお使いにならないでください。

0.05%まで薄めた液をお使いください。

※靴にはあまり使われていると思いませんが、繰り返し行うと特に絹は色味に変化が見られるので、ご注意ください。

 

 

3.ゴム

サンダルなどは廃タイヤから作られているものもあり、一応ゴムに関しても掲載しておこうかと思います。

3‐1.ゴム×アルコール除菌

ゴムは化学薬品に強かったり、油に強かったりするものが、必ずしもアルコールにも強いわけではありません。

◎ 天然ゴム EVA(エチレン-酢酸ビニルゴム) 

△ NBR(ニトリルゴム) シリコンゴム

✕ アクリルゴム ウレタンゴム

食品関係でも多いシリコンゴムですが、こちらは熱湯消毒または漂白剤に浸けるがお勧めです(赤ちゃんの哺乳瓶も、熱湯で消毒しますよね?)

EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)のサンダルは多いのですが、こちらは問題なくアルコール消毒できます。

廃タイヤの主成分は天然ゴムなので、こちらも問題なくアルコール消毒できます。

アクリルゴムは、ホースや接着剤などに使われるゴムです。

除菌方法としては、アルコールに浸けるのではなく、汚れを拭き取ってから、スプレーで吹きかけて自然に揮発するのを待ちましょう。

 

3‐2.ゴム×次亜塩素酸水

次亜塩素酸の耐久データがありましたので、そちらを参考にします。

次亜塩素酸水(pH5)あたりにおいてそのほとんどは次亜塩素酸(HClO)となります。次亜塩素酸水も、製品によってペーハーが異なりますので、ご購入前にご確認ください。

◎ 天然ゴム ブタジエンゴム プチルゴム フッ素ゴム エチレンプロピレンゴム

✕ シリコンゴム ニトリルゴム スチレンゴム クロロプレンゴム アクリルゴム

次亜塩素酸は、シリコンゴムとは相性が良くないそうです。

天然ゴムやフッ素ゴム等には使えます。

 

3‐3.ゴム×次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウム(pH12)は、強アルカリ性で次亜塩素酸イオン(ClO⁻)が主成分となります。

◎ エチレン・プロピレンゴム ブチルゴム クロロスホルン化ポリエチレン シリコンゴム フッ素ゴム 

〇 チオコール クロロプレンゴム

△ 天然ゴム NBR(ニトリルゴム) スチレンゴム

✕ アクリルゴム

逆に次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸水と違い、シリコンゴムと相性はよいです。

濃度が1%以下であれば幅広くお使いいただけますが、20%だと耐久できないというデータもあります。濃度に十分気を付けてご使用いただければと思います。

 

 

 

4.プラスチック

プラスチックもおまけに掲載します。

除菌用のボトルスプレーを使うと思いますし、靴箱、あるいはシューズホルダーなども一緒に消臭除菌されることもあると思います。

プラスチックも変色やひび割れなどもありえますので、よく確認していただければと思います。

 

4‐1.プラスチック×アルコール除菌

プラスチックも、一部割れたり白く変色したり膨張したりすることがあります。除菌だけでなく、お酒を入れていいかどうかも使う前に確かめたいですね。

注意するプラスチック素材は次の通りです。

△ エポキシ樹脂 ポリエチレン(PS) AS樹脂(SAN) ポリエチレンテレフタレート(PET) ABS樹脂

✕ アクリル樹脂 軟質の塩化ビニル樹脂

    イソプロピルアルコールは、プラスチック全般に使わないほうがよいです。

    具体的には、トイレの便座、メガネはお勧めできません。スプレーボトルも確認しましょう。

     

    4-2.プラスチック×次亜塩素酸水

    プラスチックボトルに移し替える場合、透明なボトルは避けましょう。直射日光によって除菌効果が落ちます。遮光性を確保するために、アルミ加工のされたペットボトルホルダーのような物に入れるのもオススメです。

    注意するプラスチック素材は次の通りです。

    △ エポキシ樹脂 フェノール樹脂 フラン樹脂 キシレン樹脂 ABS樹脂

    ✕ ナイロン

    80ppm以上の濃度で除菌してください。(※メーカーの取り扱い説明書に沿ってお使いください)

     

    4‐3.プラスチック×次亜塩素酸ナトリウム

    黄ばんだり、部分的に褐色に変化することがあります。

    ✕ ナイロン エポキシ樹脂 フェノール樹脂 フラン樹脂 キシレン樹脂 

    それ以外は0.05%まで薄めた液を清潔な雑巾で拭き上げてお使いください。

    水拭きをして、拭き残しが無いようにしましょう。

     

    おまけ:床や家具などワックスが使用されたものにアルコールはダメ!

    靴箱は気で出来ているお家が多いかと思いますが、アルコールで除菌するとワックスと化学反応を起こして白くなることがあります。

    また、同じくアルコール成分を含むアロマオイルなどでも、ワックスが禿げたり、他のものまでベタベタする場合もあります。 

    ワックスされているものにこぼさないよう、注意しましょう。

     

    また濃度が高い次亜塩素酸水による金属への悪影響はありえますが、空間除菌においては濃度が低いですので心配は要りません。

    現場で電解生成されたHOClのエアロゾルを連続して適用すると、手術施設で並外れた衛生管理が可能になり、研究期間中に日常的に曝露されたさまざまな電子機器に検出可能な悪影響はありませんでした(Rainina et al 2012)。

    このように電子機器に対して、大きな悪影響は見られていません。

     

     参考記事:

    消毒スプレーによる繊維や革の耐久性評価

    ゴム耐油性・耐溶剤性・耐薬品性一覧表

    薬品耐性一覧

    ゴム - 耐薬品性、耐溶剤性、耐油性一覧表

    プラスチック耐油性・耐溶剤性・耐薬品性一覧表

     濃度による差や製品による違いがありますので、あくまで参考程度にお願い致します。

    必ず、目立たないところで試してからお使いください。

     

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