手荒れにアロマオイルが危険な理由
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手荒れを、手作りのアロマで治そうとする方がいるそうです。
「ナチュラルで体に良さそう」というイメージが先行しがちですが、アロマオイルもリスクがあるので、今回記事にすることにしました。
もちろん、アロマオイルを全否定するつもりはありません。香りによるリラックス効果、ビタミンEやオレイン酸など美肌成分が含まれているのも事実です。
健康な肌をより美しくするのには良いかと思いますが、何も知らずに手荒れに使うのは危険だと思います。
アロマオイルがもつ危険性と、手荒れの治し方を、それぞれ紹介します。
もくじ
1.アロマオイルが、手荒れした肌にもたらす危険性
2.アレルギーのメカニズム
3.でも、手荒れ改善のアロマオイルのレシピは...?
1.アロマオイルが、手荒れした肌にもたらす危険性
アロマオイルは、自然由来だから安心安全だと思われがちですが、必ずしもそうだとは言い切れません。
アロマオイルに関して、私が一番心配しているのは「経皮感作」です。
経皮感作とは、皮膚に付着したものに免疫が異常に反応を起こして、アレルギー体質になってしまうことです。
一方で、経口感作とは、口から摂取したものが十分に消化できず、腸から吸収される際に免疫が異常に反応を起こして、アレルギー体質になってしまうことです。
現在は、経口感作よりも、経皮感作のほうが起こりやすいと言われています。
経皮感作のほうが重要と考えられるようになったのは、全国的に有名になった「茶のしずく」石鹸による小麦アレルギー事件です。
この石鹸に含まれていた小麦成分が、石鹸の界面活性剤による皮膚のバリア機能低下により、皮膚を経由して体内に入り免疫に異常を起こし、小麦に対するアレルギー症状を引き起こしました。
手荒れしているお肌は、皮膚のバリア機能が低下している状態です。
この状態の肌に、アロマオイルを使うことは、そのアロマオイルのもととなっている植物に対して、アレルギー症状を起こす可能性があります。
お気に入りの植物でアレルギーになってしまったら、とても悲しいと思います。
実際に、ピーナッツオイルを常用して、ピーナッツアレルギーになった方もいます。
(これはアロマオイルに限った話ではありません。例えば、アルコール消毒もやり過ぎればアレルギー反応を起こすことがあります。)
まだ研究の段階ですが、海外では、空気曝露によって感作(アレルギー)が起きる可能性も指摘されています。
特にアレルギー性鼻炎の方、花粉症の方は、エッセンシャルオイルを空気中に拡散される時は注意が必要です。
- かゆみを伴う鼻や目
- くしゃみ
- 鼻詰まり
- 鼻水
- 後鼻漏
こうした症状が起きる可能性があります。(参照:verywelth helth)
たまにアロマオイルを使う分には、気分転換にもなり良いかと思いますが、長期間習慣的に使われるのは、リスクがあります。
特に、アロマオイルを健康ではない皮膚に使うのはリスクが大きいです。理由は、次の「アレルギーのメカニズム」に説明を書きます。
2.アレルギーのメカニズム
健康な皮膚と、そうではない皮膚の違いはなんでしょうか。
大きな違いとしては、バリア機能が十分な役割を果たせるかどうかです。
健康な皮膚は、角質層に隙間がほとんどないため、外部の異物が侵入することを防ぐことができます。
しかし、傷口があったり、乾燥、湿疹などで角質層が整っていない場合、隙間があるため、異物(ハウスダスト、花粉、食物やペットの上皮などの成分、金属イオンなど)が侵入しやすくなります。
アレルギーとは、こうして体内に侵入した異物が、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞)に認識され記憶されると、体内の免疫細胞が誤って攻撃するようになった状態をいいます。
手荒れした手肌は、バリア機能が低下しているため、角質も乱れており、異物が侵入しやすい状態です。
オイルが間違って体内へ侵入してしまうと、免疫細胞が体を守るために体内で攻撃を行い、炎症が起きてしまうことがあるのです。
アレルギーは、どんなものでもなる可能性はありますが、特にアロマオイル(エッセンシャルオイル)では以下のものは特に注意が必要です。
- ベルガモット
- カモミール
- シナモン樹皮
- ジャスミン
- レモングラス
- オレガノ
- イランイラン
- ティーツリー
- サンダルウッド
- ジャスミンアブソリュート
- クローブ
- ラベンダー
- ペパーミント
※キャリアオイルでも、アレルギー症状が出る場合があります。
また、どんな油でも酸化したものは使わないようにしましょう。酸化すると肌への刺激性が強まり、チクチクとします。
(※話が脱線しますが、アロマオイルの付着したタオルが酸化で自然発火したケースもあります。アロマオイルを楽しみたい方は、高温で乾燥器を使わない、乾燥機に残さない、洗濯物の山をつくらない等、熱くなりすぎないよう、お気をつけていただきたいと思います)
3.でも、手荒れ改善のアロマオイルのレシピは...?
「手荒れ改善」と謳い文句の手作りアロマオイルのレシピもあるようですが、もちろん効果も多少はあると思いますが、使いすぎると逆にアレルギーになって手荒れが悪化する可能性もあります。
そもそも「手荒れに絶対に効く」ようなアロマオイルがあれば、今頃、マッサージオイルのセラピストの手はすべすべでもおかしくないと思いますが、現実には手荒れで悩む職業だったりします。
なぜ、マッサージオイルのセラピストが手荒れするかと言えば、上記のアレルギーも主要な原因の1つです(詳しくはこちらの記事参照「(ごめんなさい、今書いてます)」)。
手荒れの治療は時間がかかりますから、ちょっとした手の乾燥にアロマオイルを時々使う分にはいいんじゃないかと思いますが、長期間習慣的に使えば、アレルギーになる可能性は高いです。
なぜ手作りのアロマオイルのレシピで「手荒れ改善」によいと言われているかというと、大きく2つアロマオイルに効能があるからだそうです。
1つ目に、保湿効果。
2つ目に、肌の炎症を抑える効果。
手荒れ改善に確かに「保湿作用」「抗炎症作用」は大事です。だから、どうやって治療していくかは好みだと思います。
ただ、手荒れしている肌は先ほども指摘した通り、アレルギーを起こしやすい肌です。植物油が思わぬ形で、アレルギーの原因になることもあります。
私自身、自分が手荒れして治していく際に大事にしたことは「治療(抗炎症作用の持つ軟膏薬)」「予防」「保湿」です。
でも、アレルギーが起きれば手荒れが悪化するので、ゴム手袋ではなくニトリル手袋を使ったり、保湿クリームも1種類ばかり使わないようにしていました。
おそらく一番ポピュラーなのが皮膚科でもらえる抗炎症作用の軟膏薬だと思いますが、紫外線治療、飲み薬、漢方など、他の方法もあるかと思います。
4.手荒れを治すのに必要なこと
そもそも手荒れは「乾燥」が原因です。
「保湿」をこまめにすることは、乾燥を防ぎ、手荒れの改善に繋がります。
また、「治療」も必要です。炎症を抑えることは、痛み、あかみ、湿疹、かゆみ、腫れ等の症状改善に繋がります。炎症が収まらないと、いつまでも湿疹やかゆみに悩まされてしまいます。
そして、皮膚の再生自体は、皮膚自身がその力を持っています。治るのには時間がかかりますから、「予防」、皮膚にダメージを与えないようにすることが大切になってきます。
(詳しくはこちらの記事を参照ください「【洗剤で手が荒れる...洗剤負けする主婦が知っておきたい手荒れを防ぐ方法3選】」)
手荒れを治していく上で「治療」「予防」「保湿」はどれも欠かせないと思います。また、数年(少なくとも2年)くらいしなければ、完全には改善しにくいです。
「なんとなく肌に良さそう!」というイメージだけで治療方法を選んでほしくなかったので、こちらの記事を書かせていただきました。
治療に関しては、下記記事も併せて参考にしていただければと思います。
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